「ケアする人」のこころのケアについて

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こんにちは
プライベートナーシングコハルです。
今日はケアする人のこころのケアについてお話ししていきたいと思います。

病や障がいをもつ人の介護・看護を担う立場である、ご家族や支援者は、その方を支える大切な役割を果たしています。
けれども、その「ケアする人」自身の心のケアは、つい後回しになりがちです。
そこで、今回は、ケアをする人が自分自身のこころを守るためのヒントや実践例についてまとめていきます。
「一番つらいのは本人だから」と抱え込んでいらっしゃるあなたの支えになることができましたら幸いです。

目次

ケアする人が抱える苦しみとは

介護の役割を担うご家族は、以下のようなストレスや悩みがつきものです。
ここでは、どうして苦しみが生まれるのか
心理的観点からお伝えしていきます

日常の喪失感

同居している家族や別居している家族が介護が必要な状態になったとき。
まずは、これまで行ってきた日常生活パターン(仕事、家事、育児など)を調整せざるを得なくなります。
長年の生活パターンを急に変更することはかなりのストレスがかかります。
日常生活が失われてしまう喪失感、そして、時間を自由にコントロールできない自己コントロール感の喪失がこのストレスの正体です。

介護が必要な状態になることが急であれば急であるほど日常生活を大きく変えなければなりません。
そして、その膨大な手続きや、考えなければならないことに頭がいっぱいになり、ストレスが大きくかかります。

人は未知の環境に身をおかれたとき、前の慣れた環境に戻ろうとする習性があります。
そして、徐々に適応に向かいます。
折り合いをつけ、適応するまでにかかる時間は個人差がかなりあります。


孤立感、孤独感を感じる

折り合いをつけ、制限がありながらも日常のコントロール感を取り戻せるようになったとき
ふと社会からの孤立感や孤独感を感じる方もおられると思います。
孤独感、孤立感の正体は以下のようなものがあります。

介護を受ける人との関係性

お母様を介護しているとします。
従来、お母様との関係性がよく「仲良し親子」である場合と、人によってはそうでない場合があります。
両親との関係性がよくない場合、インナーチャイルド(内なるこども)や幼少時からのトラウマを抱えている場合があります。
その場合、「大切なお母さんなのだから介護してあげなければ」と思う一方で、「幼少時に傷つけられた経験が忘れられない」と両価性の思いにジレンマを感じることもあります。
そうすると、「誰にも理解してもらえない」「一人で頑張らなければならない」
と孤独感、孤立感を感じてしまう可能性が高くなるのです。

自己存在の認識

介護休暇をとったり、趣味の場に出かけられない状態になると、大抵は、介護する人とされる側の1対1が主になります。
その他に話す人と言えば、介護・医療従事者になりますが、その会話は、介護医療に関連した会話となってしまいます。
活動的な方、社会とのつながりが密接である方であればあるほど、社会とのつながりが断絶されたように感じます。
そして、心ない言葉や、否定的な言葉を投げかけられたとき、誰からも認めてもらえないと感じ、さらに孤独感や孤立感が生じます.

他の家族や親戚との関係性

介護をしていると、兄弟や、親の兄弟、親戚が本人を大切に思うばかりに様々な口出しをされる場合があります。
ご自身との生活とのバランスをみながら精一杯介護していたとしても、「もっとしっかり見てやれ」「施設なんてかわいそう」なんて言う言葉もきかれることもあると思います。すると、「誰にも理解してもらえない」といった孤独感を感じやすくなります。

将来への不安や経済的な心配

介護休暇を取得したり、介護を優先し、働き方を変えると収入が下がることがあります。
終わりのみえない介護に経済的な不安を感じずにいられないことも多いと思います。

「もっと頑張らなきゃ」と自分を追い込んでしまう

ご自身を追い込んでしまいやすい方の特徴としては、次があげられます

  • 責任感が強い
    介護者としての責任を強く感じ、「しっかりと責任を果たしていないのでは」と自分を責めてしまう
  • 真面目で几帳面
    物事をきちんとやろうとする性格で、中途半端や手抜きを許せない。
  • 完璧主義
    「もっとちゃんとしなければ」「もっとできることがあるはず」と考える。
  • 自分の生活や仕事を犠牲にしやすい
    介護のために自分の生活や仕事を後回しにする。
  • 頑張りすぎている自覚がない
    「一人で抱え込まない」と心に決めていても、いざ介護が始まると無意識に自分を追い込んでしまう
  • 自責の念が強い
    介護中のトラブルや不測の事態が起きたとき、「自分がもっと気をつけていれば…」と過度に自分を責める。
    例えば、「肌が乾燥してます」「ここに傷がありますね」といった何気ない一言でも責められているように感じる
  • 他者に頼ることが苦手
    介護サービスや周囲の支援を十分に活用できず、一人で抱え込もうとする。

心のセルフケアのポイント

ここまで、ケアする人の心の苦しみについてお話ししてきました。
「周りに上手に頼りましょう」なんて簡単に言いますが、ご自身の中に、今まで培われてきた根深い苦しみがある場合、すぐに変えられないことがほとんどです。

周りに頼れるようになるまでには、心のセルフケアが必要になってきます。
このセルフケアをせずに、無理に周りに頼ってしまうと、「何故自分は完璧にできないのか」「頼ってしまう自分はだめだ」といった自責の念にかられてしまいます。
それでは、どのように自分自身を癒すためのセルフケアをしていくのか
その具体的な方法についてお伝えしていきます。

1. 自分の気持ちに気づく

「つらい」「疲れた」「イライラする」「悔しい」「なぜ私ばっかり」

そんなネガティブな感情に覆われたとき、あなたは、どのように対処していますか?
そんなことを思ってはダメだ。と感情に蓋をしたり、近しい人に愚痴を聞いてもらったり、気分転換をはかったり、いろいろな対処方法があると思います。

ただ、ここで大切なのは、この自分の気持ちをしっかり「見てしまう」ことが大切です。
ネガティブな感情は、これまで生きてきた中で培われた経験や体験、トラウマなどが価値観であり、根っことなり、そこから発生しています。
すこしややこしい言い方をしましたが、例を一つあげてみたいと思います。

Aさん 40代女性
4人兄弟の長女 
共働きの両親を助け、弟たちの世話を頑張った幼少学生時代を過ごしてこられた。
両親はそんなAさんに感謝の気持ちを伝える一方で、幼い弟がケガをしたり、病気になったりしたとき、Aさんを責め立てることが多かった。Aさんはそんな経験から「起きることは、全て自分の責任」といった価値観が植え付けれた。
そんなAさんは、社会人になっても上司が不機嫌なとき、「自分が仕事ができないせいだ」と自分を責め、常に顔色をうかがう生活をしている。
そして、両親が介護が必要になり介護休暇をとることになったAさん。育ててもらった両親だから精一杯介護を頑張ろうとするが、訪問してくるヘルパーや看護師、医師からの何気ない一言に責められているように感じ、謝ってばかりの毎日を過ごしている。

いかがでしょうか。
このように過去の経験、体験、トラウマから現在のネガティブな感情が沸き起こっています。

一方Aさんが全く違う人生を歩んできた方ならどんな捉え方をするでしょうか

Aさん
4人兄弟の末っ子
両親は共働きだったが、年の離れた兄弟たちが、自分をみてくれて可愛がってくれた。
家族みんなが、Aさんのすることに対して笑顔になり、失敗しても決して責めることはなく「Aがいてくれるだけで幸せだよ」と皆が言ってくれた。
社会人になっても、失敗することも多かったが、責めるような指導をされても、自分が改善すべき事実だけを受け取ることができ、次にすすむことができた。
そして、両親に介護が必要になり介護休暇をとることになった。訪問してくるヘルパーや看護師、医師から言われたことに対しても事実だけを受け取り、相談したり、周りに頼ったりしながら自分の時間も大切にしている。

このように過去によって全く違う捉え方をします。
どちらがよい・悪いではなく、過去の経験、体験、トラウマから感情が発生するということです。

冒頭で、この感情を「見てしまう」ことが大切
とお伝えしました。

その方法についてお伝えしていきます。

  1. ネガティブな出来事を紙に書く
  2. 紙に書かれた文字をみて、感情をしっかりとあふれさせる
  3. 「この出来事は何が嫌?」と自分に問いかけてみる
  4. すると「だって・・・」という気持ちがでてくると思います。
  5. その気持ちをノートに書きます
  6. 次にその文字をみながら、「これは、何が嫌?」と問いかけます
  7. また、「だって・・・〇〇だもん」という気持ちが湧き出てきます。
  8. そしてまた、3から繰り返します。
  9. 最終的に孤独感や恐怖感がでてくると思います。そこまで出てきたら掘り下げるのをストップします

この方法をとると
自分の過去のトラウマや今の自分を形作っている凝り固まった考えをしっかりと「見てしまう」ことができます。
自分の根底にある価値観をしっかりとみつめることで
「こんなものに囚われていたんだ」
「今の私は大人なのだから大丈夫なのに、どうしてこんな感情に縛られていたんだろう」
というようなスッと軽くなる感覚になります。

この方法の習得は、私自身も1年近くかかりました。
なかなか、文章だけで理解するのは難しいと思いますので
詳しく知りたい方は、ぜひ、お気軽に無料相談をご利用ください

2. 〇〇すべきという思考から抜け出す

前述のように、感情をみつめてみると、凝り固まっていた〇〇すべきという感覚から抜け出すことができるようになります。
そのすべき思考が、Aさんのように過去のトラウマからきている場合
過去の自分やその出来事を頭の中でイメージして、そっと抱きしめてあげ、「あなたは悪くないよ」「あなたがいるだけで素晴らしい」「〇〇って言ってほしかったね」など、そのときの自分がしてほしかったことを伝えます。
これを繰り返すと、すべき思考がすっと抜けることがあります。
ぜひ試してみてくださいね。

3. 小さな楽しみやリフレッシュを大切に

好きな音楽や香り、散歩や、友達とおしゃべり、おいしい食事をするなど、短い時間でも自分のための「ごほうびタイム」を作りましょう。
「自分だけリフレッシュしてしまった」と自責の念に囚われる必要はありません。
あなたがリフレッシュすることは、介護される方も望んでいることです。

4. 専門家の力を借りる

介護に関する悩みや心の不調は、地域包括支援センターやカウンセラーなど、専門家に相談するのも大切です。「相談することは弱みをみせること」では決してありません。
プライベートナーシングコハルは、上級心理カウンセラー、クリアランスメソッドライセンスを持ち、無料相談の中であなたの苦しみを一つずつ丁寧にきき、整理を助けていきます。
ぜひお気軽にご利用くださいね

家族介護者を支える制度やサービス

  • 介護保険サービス(デイサービス、ショートステイなど)
  • 家族会や介護者のつどい
  • 自治体の相談窓口や電話相談
  • オンラインの介護者コミュニティ
  • 時間制限なしの保険外看護の利用

こうしたサービスを積極的に利用しましょう。
同じような境遇である方々と出会えることは、お互いに助け合いになります。

おわりに

ケアする人はご自身の気持ちが後回しになってしまいがちです。そして、先の見えない介護だからこそ、不安や苦しみを感じたりしやすい。だからこそ、「自分の心のケア」も忘れずに。あなたが笑顔でいることが、きっとご家族の安心にもつながります。

プライベートナーシングコハルは、あなたを応援しています。
・急な出張、会食が入りみる人がいない
・リフレッシュする時間がほしい
・気持ちを聞いてほしい
そんなご要望がありましたら、是非お気軽にご相談ください

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